和菓子コーディネーター、荻島美佐恵さん 後編
今年オンライン開催されるJapan Fair Sakura Daysで、和菓子のデモンストレーションを行う荻島美佐恵さん。彼女のInstagramには練り切りをはじめとする繊細で美しい和菓子の写真が並ぶ。
なぜカナダで和菓子なのか? カナダで和菓子づくりを始めた経緯など興味深い話を聞いた。その内容を2回に分けて紹介する。
後編は美佐恵さんがつくる和菓子について。
販売状況はインスタグラムでチェック
資格を取ったことで不定期に販売も始めた。「カナダにいらっしゃる方の中には、和菓子を食べたいという方も多く、お茶の先輩方も購入したいと言ってくださいました。これからも勉強していきます」と向上心旺盛だ。
美佐恵さんがつくる和菓子はキツラノのO5 Teaで購入可能だが、正月やバレンタインデーといった季節の行事に合わせて販売していて、現在のところ毎日購入できるものではない。
「常に納入できなくても、私の和菓子を購入してくださるお客様にはとても感謝しています。やはり和菓子はお茶と合うので、バンクーバーの有名なお茶屋さん のO5 Teaで私の和菓子を置いていただき光栄です」
常時販売していないのには理由がある。荻島さんは現在、栄養学の勉強もしている。「修了が来年3月の予定なんです。それまでは残念ながら時間がありません」
販売状況はインスタグラムで確認してほしいという。
栄養学のコースが終われば、O5 Teaに加えて、日系のイベントやポップアップショップでの販売、栄養学を取り入れたイベントなど、和菓子を通して面白い企画も考えていきたいと抱負を語る。ただし「和菓子は大量生産できないのが難しいところでもあります」という。
ローカルの材料を使って作る和菓子
カナダでの和菓子づくりは材料の入手が難しそうだ。
「白あん用の手亡豆(てぼうまめ)の代わりにライマビーンズ(Lima Beans)を使っています。小豆はこちらの小豆です。Whole Foodsでも売っているんですよ」
日本の小豆も手に入るがローカルのものを使っている。「バンクーバーで買うことができる日本の小豆はパッケージが小さいので、和菓子の材料には何袋も必要になってしまいます。Whole Foodsならバルクで買うことができます」
よく見かける中国産については固いため使っていないそうだ。一方、BC産の小豆は仕上がりが柔らかいという。
BCやカナダの材料を使いたいが、日本で手に入れなければならないものもある。道具も同様だ。「パンデミックで日本からの航空小包を送ることができません。本当に困っています」と眉を寄せた。
人を幸せにする和菓子に魅せられて
日本では和菓子とは異なる“学芸員”の世界にいた荻島さんだが、カナダで新たな方向性を見出した。
カナダには荻島さん以外にも和菓子職人がいる。「将来的には、コーディネーターとしてそういう方たちとも何か一緒に仕事をしていけたらと思います」とやりたいことは多い。
「和菓子は昔から好きでしたが、職人の世界は大変だ、やめておけと言われて育ちました。歴史や美しいものに囲まれていたくて、博物館や美術館で働きたいと学芸員になりました。でも結局、こちらの世界に入ってしまいそうです」とほほ笑んだ。
見た目が美しいだけでなく、美味しい和菓子は人を幸せにする。そんな和菓子に魅せられたという。
インスタグラム Misae(@misaeogishima)
日本人だけでなく、カナダ人でもいろんなバックグラウンドの方がフォローしている。
O5 Tea
2208 W 4th Ave, Vancouver, B.C.
TEL: 604-558-0500
www.o5tea.com
サクラディ・ジャパンフェア
例年はバンデューセン植物園で開催される。今年はバーチャルでの開催。和菓子のデモンストレーションもバーチャルで行う予定。https://www.vcbf.ca/community-event/sakura-days-japan-fair
(取材 西川桂子)
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