今年第10回を迎えた日系祭りが日系文化センター・博物館で9月3日、4日に開催され、大盛況のうちに幕を閉じた。3日には初代実行委員長大河内南穂子さんをはじめ、在バンクーバー日本国総領事館羽鳥隆総領事、バーナビー市マイク・ハーレー市長、連邦下院ピーター・ジュリアン議員らが開会式にかけつけた。
日系祭り実行委員会の発表によると、2日目は雨になったものの2日間の動員数は約7,000人。ルイーズ阿久沢実行委員長は、大河内初代実行委員長に参加してもらえたこと、お神輿や盆踊りに参加したり、多くの人が楽しんでくれていることに「ほんとに感謝です」と語った。長くボランティアをしてくれている人たちがいることにも「とってもうれしいこと」と顔をほころばせた。実行委員長を7年務める中で「私自身がますますお祭りのとりこになっているように、皆さんにこういう日本のお祭りスピリットを感じてもらいたいと思っています」と語った。
日系文化センター・博物館ケーラ後新門フォスター事務局長は、2013年から10年目の今年、大河内初代実行委員長を開会式に迎えられて1周したという感じがしていると語った。「今日の開会式は『日系祭り』が長く続くことを予感させるもので、将来に大きな期待が持てるものになったと思います」と満面の笑みを見せた。
「ますます広まっていくことを願っています」大河内元実行委員長
10周年で大勢の人が楽しんでいる様子を眺めて大河内初代実行委員長は目を細めた。日系祭りはレイバーデー(9月第1月曜日の祝日)の連休に「何か華やかなものを日系センターでやりないなぁってことで、当時若い方が集まって」考えて生まれた。「ほんとに若い方ががんばってくれました」と振り返った。
10年たった今、日系人だけではなく色々な人種の人たちが集っているのを見て「それがうれしくて。こういうことから日本文化の紹介にもつながるし、日本ひいきの方が増えていくということで、それが誇りでうれしいです。よくここまで続けてやってくださったと思います。ありがとうございます」と感謝した。そして、「ますます広まっていくことを願っています」と笑顔を見せた。
お祭りが日本の外交に貢献
最多参加回数を誇るのは羽鳥総領事。4回参加して1回は新型コロナウイルス感染拡大の影響で日系祭り提供サマーアット日系ガーデン開催、昨年はミニ祭り、2019年と今年は規制なしでの祭り参加となった。
「1回目と今回がフルスケールですけど、ものすごいですね、人が」。3日の開会式直後の感想だ。
晴天となったこの日は、11時オープン前から多くの人が訪れ、3カ所に設けた入場口には長蛇の列ができていた。
「日本文化あるいは食べ物のパワーが日本の外交に貢献しているとお祭りにくると感じますね」と羽鳥総領事。「それだけ日本の文化が愛されている、関心を持たれているということで、外交する立場からしても非常にありがたいと思っています」
羽鳥総領事は開会式でのあいさつでバンクーバーを離れることを発表。約4年滞在したバンクーバーでは在留邦人だけでなく、日系人、地元カナダの人たちなど、多くの人との出会いが「うれしかったですね」と振り返った。日系祭り参加も今回が最後。「今日はお好み焼きをぜひ食べてみたい」と笑った。
10周年祝賀証明書を受け取る
阿久沢実行委員長に、連邦下院新民主党(NDP)ジュリアン議員から10周年祝賀証明書が開会式で手渡された。「日系祭り10周年の開催を心よりお祝い申し上げます」と、NDPジャグミート・シング党首と連名で贈られた。
シング党首は日系センターがあるバーナビー・サウス選挙区選出で、ジュリアン議員はニューウエストミンスター‐バーナビー選挙区。
ジュリアン議員は日系祭りに「数えてないけど、5回か、6回、参加していると思う」と言い、この日系センターは日系カナダ人が差別に屈することなく困難な時代を乗り越えて、カナダに貢献してきたことを象徴する場所と国会でも取り上げたほど大切な存在だと語った。
初めて浴衣の着付けに挑戦!盆踊りも参加し祭りを満喫!!
毎年人気イベントなのが、浴衣の着付け。1時間浴衣を着て日系祭りを楽しめるのが最大の魅力。
バーナビー在住のジェフリーさんは「浴衣は初めて」と自身の浴衣姿にまんざらでもない様子。「アニメが好きで、日本語が少しわかります」と言う。なかなか着付けが終わらない妻のヴィンシーさんを心配そうに待ちながらも、好きなアニメの話などで盛り上がった。
ヴィンシーさんが浴衣を着て出てくると満面の笑み。2人で記念撮影をして日系祭りへ。友人も一緒に浴衣姿で盆踊りを楽しんでいた。
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今年も多くの人が訪れ、それぞれに「日本の祭り」を楽しんだ。初日の夏陽ざしが残る晴天とは打って変わって、2日目は小雨が降るあいにくの天気だったが、そんなことは全くお構いなし。盆踊りも、神輿も、全てのイベントが、2日間とも、大盛り上がりの日系祭りとなった。
(取材 三島直美)
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