珍しくてもメトロバンクーバーで大雪が降ることもある。Photo © the Vancouver Shinpo
珍しくてもメトロバンクーバーで大雪が降ることもある。Photo © the Vancouver Shinpo

 冬が近づいている。ブリティッシュ・コロンビア(BC)州の多くの道路では、10月1日から4月30日、もしくは3月31日までの間、ウィンター(冬用)タイヤの装着が義務付けられている。つまり、もうすでにウィンタータイヤのシーズンに突入しているのだ。

 冬期の安全運転の促進を行うWinter Driving Safety AllianceのウェブサイトSHIFT INTO WINTERによると、12月は9月と比較して自動車事故の件数は48%多いという。Winter Driving Safety AllianceはICBC、Work Safe BCなどが主要スポンサーとなっている。

 メトロバンクーバーでは雪で運転に困るようなことは滅多にないとはいえ、ひと冬に数回ほどある。雪が降った時に困らないように、冬の運転について調べた。

多くのハイウェイでウィンタータイヤが必要 

 10月1日から4月30日までの間、ローワーメインランドやグレイタービクトリアの大部分のハイウェイは例外として、多くのハイウェイで乗用車にウィンタータイヤを装着する必要がある。

 たとえば、バンクーバー・ウィスラー間のシー・トゥー・スカイ・ハイウェイやオカナガン地方を結ぶコカハラ・ハイウェイを走る際には、ウィンタータイヤの装着が義務付けられている。

 サマータイヤの上にチェーンを装着してもウィンタータイヤとはみなされない。大雪のときなど、ウィンタータイヤの上からチェーンを装着してもいい。

 一方、商用車はタイヤチェーンの携行が必須となっている。

 ウィンタータイヤ装着が義務付けられているハイウェイには標識が掲げられている。また、BC州運輸省のウェブサイトでも確認できる。下の地図で、黒色以外でマークされたハイウェイは特定期間、ウィンタータイヤの装着が義務付けられている。

BC州運輸省のウェブサイト: https://www2.gov.bc.ca/gov/content/transportation/driving-and-cycling/traveller-information/seasonal/winter-driving/winter-tire-and-chain-up-routes

 タイヤは摩耗するため、溝が最低で3.5ミリメートルあることが必要とされるので要注意だ。

 ウィンタータイヤが必要な道路で装着していなかった場合は乗用車で121ドル、ウィンタータイヤを装着していてもタイヤの溝が3.5ミリメートル未満の場合には109ドルの罰金となる。

溝の深さの確認の仕方のビデオ(英語)

ウィンタータイヤ? それともオールシーズンタイヤ?

 BC州で法律上認められているタイヤは2種類、目印は以下の通り。

・山の中に雪の結晶が入っているロゴ
・M+S (Mud and Snow)の文字

 BC州政府のTranBCのウェブサイトで「冬の状況でパフォーマンスが最高なのは山の中に雪の結晶の入っているウィンタータイヤ」とある。
 
 山の中に雪の結晶が入っているロゴのものは、低温でもしなやかさを保つ特殊ゴム素材を使用し、溝の形状に工夫を加え、雪路や凍結路でも走行性能が高い。サマータイヤのように低温でひび割れを起こすこともないとされている。

 一方、M+S (Mud and Snow)の文字が入っているものはオールシーズンタイヤとなる。タイヤを販売するKAL TIREなどでは、3-season (all-season)「3シーズン(オールシーズン)」と紹介している。ウィンタータイヤより料金は安いが、Transport Canada(カナダ運輸省)はM+S (Mud and Snow)タイヤは厳しい雪の状態に常に適しているわけではないと説明している。

タイヤのロゴを説明YouTubeビデオ

 州政府のウェブサイトでは、4本とも同じ溝の形状と深さのタイヤを使用することを勧めている。異なるものを使用すると、安定性が損なわれるため避けるべきだという。4輪駆動の場合でも前2本は同じ溝の形状と深さのウインタータイヤを使用することが最低条件となっている。

 空気圧が低下すると摩耗が進む。気温が下がるとタイヤの空気圧も下がるので、寒い時期には1カ月に1度はタイヤの空気圧を確認するよう推奨している。

 ブリヂストンタイヤでは、「雪道や凍結路では乾燥路に比べて何倍も滑りやすくなります。急発進・急ハンドル・急ブレーキといった『急』のつく運転操作はスリップの原因になりますので厳禁です」、「自分の運転技術やABS、4WDといったクルマの性能を過信するのは禁物です。どんなに高性能なクルマに乗っていても、慎重な運転を心がけましょう」とドライバーに呼び掛けている。

参考:
Designated Winter Tire & Chain Routes
Passenger Vehicle – Tire and Chain Requirements
Shift into Winter: The Inside Scoop on Winter Tires and Chains
Winter Driving Can Be Dangerous

(取材 西川桂子)

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