熱波、竜巻、洪水など異常気象はニューノーマル?竜巻から身を守る

    University Golf Courseで根こそぎ倒れた大木。Photo courtesy of Mrs. Akiko Matsumoto
    University Golf Courseで根こそぎ倒れた大木。写真提供 松本明子さん

     ブリティッシュ・コロンビア(BC)州では今年6月の猛暑、バンクーバーでの11月の竜巻、今週末、13日からは大雨による洪水、15日にはメトロバンクーバーの多くの地域で暴風警報と、異常気象が続いている。

     世界気象機関(World Meteorological Organization: WMO)が31日に公開した気候報告書で、ペテリ・ターラス事務局長は「異常気象がニューノーマルになっている」の考えを示している。生態系やコミュニティは破壊的影響を受けて「地球が目の前で変わっている」と警告した。

    住民や研究者を驚かせたバンクーバーでの11月の竜巻

     バンクーバー市のブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)で11月6日午後5時10分ごろに竜巻が発生した。バンクーバー国際空港から目撃された水上竜巻が、UBCに向かって移動したとされている。UBC付近では強風とともに雹が降った。

     カナダで11月に竜巻が起こることは極めてまれなことで、しかもそれがバンクーバーでとなると、1976年7月25日以来の出来事とされている。

    バンクーバー空港では水上竜巻が目撃された。

     UBCに到達したときには、時速90から110キロの強風になっていたため、立木が根こそぎ倒れたり、枝が折れたりする被害が出たほか、倒木で付近の一部道路が9日まで通行止めとなった。

     竜巻を経験した松本明子さんは「夕方にいきなり空が暗くなり、ドーン、ドーンと雷のような音がしたのち、強風とともに雹がバラバラと降ってきたので、びっくりしました。5分ほどでおさまったものの、これが竜巻だったとは、翌日のニュースでようやく知った次第です」と語った。

     幸い、自宅等には被害はなかったという。

    カナダで竜巻がよく発生するのはアルバータからオンタリオ、オンタリオからニューブランズウィック

     ウエスタン大学らが参加している「Northern Tornadoes Project」によると、カナダで竜巻がよく発生するのは
    ・アルバータ州南部からサスカチュワンとマニトバ両州南部、そしてオンタリオ州北西部にかけて
    および
    ・およオンタリオ州南部からケベック州南部、そしてニューブランズウィック州にかけて
    の地域という。

    Northern Tornadoes Projectの2017年から21年の竜巻発生データ。(Northern Tornadoes Projectのウェブページのスクリーンショット)

     時期については、カナダ赤十字によると4月から9月となっている。

    竜巻から身を守る

     カナダでもこれまでに竜巻で大きな被害が出ている。2018年9月21日にはオタワで発生した竜巻で、屋根が飛ぶなど住宅が損壊したほか、自動車が横転。25人が負傷して、うち6人は重傷を負った。また10万世帯以上で停電した。

    カナダ赤十字が竜巻に関する注意点をまとめている。
    竜巻発生時
    ・警報や注意報が発令されたら、ベースメントや建物の下の階のような安全な場所に移動する。
    ・玄関のドアや窓、屋外との壁の近くから離れる。
    ・ローカルニュースや天気予報を確認して最新情報の収集。
    ・危険な兆候に注意
     -暗い空。緑がかった、もしくはオレンジからグレイがかった空。
     -大粒の雹。
     -大きく、暗い、地上に延びる漏斗状の雲。
     -貨物列車のようなゴーッという音。
    ・これらの兆候がすべてなくなるのを待ってから安全な場所から移動。 
    ・外にいて近くに逃げ込む場所がない場合は、側溝などに伏せる。
    ・車に乗っている、もしくはトレイラーハウスにいるときは、すぐに外に出て安全な場所に避難。車は竜巻に飛ばされる恐れがある。

    竜巻が過ぎた後
    ・ラジオで引き続き情報や指示を収集。
    ・自宅の外にいる場合は、安全と分かってから戻る。
    ・州や準州の公衆衛生ガイドラインに従い、助けが必要な家族や友人、近所の人がいる場合は様子を確認する。
    ・被害のあった場所や、垂れ下がった電線などの近くにはいない。離れた場所へ移動。
    ・自宅が安全ではないと思った場合は、中には入らず、消防や電力会社の人など専門家の判断を待つ。
    ・損害状況を調べる際には、ジーンズなどの長ズボン、パンツ、長袖のシャツ、しっかりした靴を履いておく。
    ・保険請求が必要なときのために建物および内部の損害状況の写真を撮影。
    ・廃棄物の処理について自治体に確認。

    (取材 西川桂子 写真提供 松本明子さん)

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