僕が住んでいるウィスラーから車で1時間、ポーテューコーブ(Porteau Cove)というところからシーカヤックの1泊2日のキャンプに行ってきた。
誘ってくれたのは、このエリアで3年前から漕ぎ始めたHさんカップル。
Hさんのカヤック歴は25年で、アラスカからバンクーバーまでシーカヤックで漕いできた強者で、僕の知る限り日本人としては三番目。しかもバンクーバー島の外海を漕いできたのはおそらく日本人としてはHさんが初めて。
彼は主にバンクーバー島の流れの厳しいところや、あえて困難なところに挑んでいて、最初ハウサウンドを見くびっていた(面白くないと思っていた)そうだ。
ところがこんな身近にこんな面白いところがあったのかと、今では毎週のようにこのエリアを漕いでいる。ちなみにHさんカップルはペンバートン在住なので、ここまで車で1時間半ほど。
どうもHさんは、一緒に行く人の力量によって風や波をコントロールする力があるようで(パートナーさんのお話)、風があまり吹かない穏やか時もあるが、それなりにパワーがある人の時は風が強く波も高くなるようだとのこと。
僕の時は、それなりに波もあり風も強かった(と思う)。風がないときにはいいのだが、風が吹いてきたらひたすら漕ぎ進むだけ。海の上ではHさんから「こっちこっち」と呼びかけられるが、こっちも一生懸命やっているが、思うようにはいかない。きれいな景色に感動しながら、必死で漕いだ。
腹筋やら腕やらがほぼ痙攣(けいれん)状態になったがなんとかアンビル島(Anvil Island)の南から回り込み、対岸のラミリーズ・チャンネル(Ramillies Channel)のキャンプサイトに到着してホッとする。約半日かかってたどリ着いた。ただ、すぐにはカヤックから立ち上がれないぐらいあちこちが大変だった。
キャンプサイトで夕食をとりながら話していると、Hさんは意識の上では波や風がないとつまらないと思っているのだそうだ。聞くと学生時代は、嵐が来るとわざわざ葉山の海に漕ぎだしてロール(転覆した時にカヤックから脱出せずに起き上がる技術)の練習をしていた変な人だったとのこと。
またたった一人で長い遠征の時は、ケチャップパスタとケチャップご飯しか食べずに漕ぎ続けていたので、その反動からか、今はキャンプといえども食生活に妥協はない。
この日も、ペンバートンで取り立てのタラの芽の天ぷらやエビ天などのうどん。僕が持っていった鮭皮は、焚き火で熱した石で石焼きにして食べた。
焚き火で温まりながら、遠くの方でチラチラする不思議な光を見ながら、ゆったりしたとても贅沢な時間を過ごした。
2日目はアンビルアイランドの北側からポーテューコーブに戻った。帰りにアンビルアイランドに沿って北上した時には、風もなく一番楽しかった。漕いでいる時はあまり余裕がなかったが、綺麗な景色なので余裕があればもっともっと写真を撮れたかなと思った。
ラミリーズ・チャンネルまでは片道、正味5時間弱ぐらいのパドリング。最後の横風、横波が結構大変だったが時間にも余裕があったし、とても良い経験ができた。連れて行ってくれたHさんカップルに感謝。
今回、アザラシは何カ所かで見られたが、白頭鷲やシャチ、クジラも見ることがあるという。
ご近所にこんな綺麗なところがあったのだなって本当に再発見させてもらった。
最後にHさんのアドバイスとしては「身近にある非常に魅力的なカヤックフィールドですが、風が強くて上陸ポイントが少ないため、ある意味経験者向けです。初心者カヤッカーであればディープコーブがオススメかも」とのこと。
注:このエリアはシーツースカイマリントレールとして整備された場所。キャンンプサイトも決められているし、場所によってはフェリーの航路も近いので注意が必要です。
シーツースカイマリントレール
https://www.bcmarinetrails.org/
スタート地点
ポーテューコーブ(Porteau Cove)
中継点
アンビル島(Anvil Island)
目的地
ラミリーズ・チャンネル(Ramillies Channel)
ポーテューコーブからアンビル島をはさんで対岸のギャンビア島(Gambier Island)にあるキャンプ場。
(文 野口英雄)
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