ノーベル経済学賞にオンタリオ州出身のカード氏ら

 スウェーデン王立科学アカデミーは10月11日、今年のノーベル経済学賞を米カリフォルニア大学バークリー校のデビッド・カード教授、米マサチューセッツ工科大学のジョシュア・D.アングリスト教授、米スタンフォード大学のグイド・インベンス教授の3氏に授与すると発表した。

 カード氏は1956年にカナダ・オンタリオ州で生まれた。クイーンズ大学を卒業した後、米プリンストン大学で経済学の博士号を取得。自然実験により、最低賃金、移民、教育の労働市場への影響を分析、研究してきた。

 その研究で最低賃金を引き上げると雇用が減るとこれまで考えられていたが、そうとは限らないことを明らかにした。

 また、新しい移民はその国で生まれた人の収入に良い影響をもたらす一方で、以前からの移民には不利となること、将来の労働市場における成功において、以前から考えられていた以上に教育が重要であることも証明した。

 賞金1000万クローナ(約1億2900万円)の半分が贈られる。

 カード氏の受賞を受けて、ジャスティン・トルドー首相は「カナダ人を代表してカード博士の素晴らしい功績にお祝いを申し上げます」と声明を出した。さらに「経済の理解を深めるための一助となります」と感謝した。

 アングリスト氏とインベンス氏は、自然実験が因果関係にいかに正確な結論を引き出すかを示したとして、カード氏に贈られた残りの賞金を分ける。

受賞の知らせを受けたカード氏を妻のシンシア・ジゼルさんが撮影していた。