開催の可否がいまだ話題に上る今年開催予定の東京夏季オリンピック開幕まであと約100日となったが、バンクーバーでは2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致の可否が注目されている。
バンクーバー市議会は3月31日、バンクーバー市が2030年冬季五輪招致に本気で取り組むとなったときには、まずは2010年冬季五輪のバンクーバー市への利害を改めて調査するとする動議を可決した。賛成はケネディ・ストゥワート市長を含めた8人、反対は3人。
完全に招致の芽を摘むことはしないが、現時点で積極的に招致活動に乗り出すという決定もしないということのようだ。
ブリティッシュ・コロンビア(BC)州最大都市バンクーバーで前回冬季五輪が開催されたのは2010年。昨年には10周年を記念したイベントが開催された。新型コロナウイルス感染拡大直前でギリギリ間に合ったタイミングだったが、その時に湧いたのが冬季五輪の再招致だ。
最も近いのは2030年。前回開催から20年で、当時の競技会場はほぼ再利用可能。現在の国際オリンピック委員会(IOC)の規定にも当てはまり、可能性が高いとして盛り上がった。
バンクーバー市議会では昨年4月に議論される予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大で延期となり、同年11月4日に議論を継続することを決定、次回の議論は2021年春とした。そして今回も議論継続で可決した。
今回の決定では、積極的に招致するとなれば、まずは、住宅事情、物価レベル(アフォーダビリティ)、環境に、前回五輪が及ぼした市への影響を再調査するという。
現在でも国内で最も高い住宅事情と、それが原因で起こっている物価上昇で、生活費の高騰に所得が追いつかず、人々の生活を圧迫している。五輪を招致したことで、これ以上住みにくい街と化してしまっては本末転倒となるというのがバンクーバー市の懸念。ただでさえ新型コロナの影響で経済が停滞している中、五輪招致に税金を費やせるのか、税金の使い道が間違っているのではないかという議論が起こるのは間違いない。2010年のときにも起こっている。
昨年4月に動議を提出したメリサ・デジェノバ市議は、新型コロナからの経済回復を招致理由のひとつとして上げていたが、9年後に開催される五輪に経済復興を掲げるにはかなり無理がある。
ビジネス界では一部で盛り上がっているようだが、まずは新型コロナが収束してからとなりそうだ。ただ招致に乗り出すのであれば、あまり時間は残っていない。
2030年冬季五輪招致には札幌やスペイン・バルセロナが関心を示している。
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