一般向けワクチン接種は4月から:BC州ワクチン接種計画リポート前編

BC州のワクチン接種計画

 ブリティッシュ・コロンビア(BC)州政府が1月22日に新型コロナウイルスのワクチン接種計画を追加発表した。

 400万人を超える州民が対象という大掛かりな接種となるため、州ではNational Advisory Committee on Immunization(予防接種に関する全国諮問委員会)や州の予防接種委員会などのガイダンスや専門家の助言を受けて計画を準備してきたという。

 ワクチン接種計画についてBC州政府の発表内容を、1月22日の発表に基づき、2回に分けてリポートする。事前調査や予約方法など、州政府は今後も順次発表を予定している。

ついにワクチン接種計画発表

 州政府では新型コロナウイルスのワクチン接種は年齢、基礎疾患の有無などにより優先順位をつけて行っていくことを明らかにしてきた。昨年12月9日に高齢者施設の入居者や医療従事者から接種を開始すると発表したとおり、既に一部の医療従事者や介護施設の入居者が接種を受けている。

 続けて施設に入居していない80歳以上の高齢者、一部先住民コミュニティへの優先接種を行い、80歳未満の一般の人への接種開始は4月を予定している。

 年齢が高い人から低い人へと順次接種をしていき、9月末には最終グループを終了させる予定という。

 現在、カナダが承認している新型コロナウイルスのワクチンは、ファイザー/ビオンテックとモデルナの2種類。ファイザー/ビオンテックは16歳以上、モデルナは18歳以上となっていて、現時点では子どもの接種予定はない。

 接種は無料、つまり公費で行われ、学校の体育館やアリーナ、コミュニティホールなどで行われる。

接種は任意で希望者のみ

 BC州衛生管理局(BCCDC)のウェブサイトには、”It’s up to you whether you want a COVID-19 vaccination”(ワクチンを接種するか決めるのはご自身です)とあり、接種は任意となっている。

 「新型コロナウイルスという全く新しいものに対して懸念を抱いたり、躊躇(ちゅうちょ)することは普通」だとしながらも、多くのワクチンや医薬品の安全性の承認審査を行っているヘルスカナダ(カナダ保健省)が、今回も新型コロナワクチンの安全性を確認した上で承認、接種に至っているとの説明があり、安全性をアピールしている。

 ジョン・ホーガン州首相も「…前進するためにも、コロナワクチンを受けることを勧める」と州民に呼びかけている。

供給管理のために事前登録

 80歳未満で介護施設に入っていない一般の人に対するワクチン接種の時期、事前登録の方法・時期、ワクチン接種クリニックの利用方法は、2月の下旬をめどに発表開始を予定している。

 事前登録は必要なワクチンの量を確認して供給管理を行うためのもので、接種予定時期の2~4週間前に行うことになる見込み。

4段階でのワクチン接種

 ワクチン接種は4段階で進められる。フェーズ1とフェーズ2は80歳以上および介護施設の入居者やスタッフ、フェーズ3とフェーズ4はその他一般の州民となっている。

 フェーズ1は12月に始まり2月まで、フェーズ2が2月から3月となっている。

 80歳未満で介護施設などに入居していない州民に対しては4月から接種を開始。フェーズ3と4は、75歳~79歳、70歳~74歳というように5歳単位の年齢順で接種を進めていく。

 コロナから回復した人は短期的には免疫があるとみなされているため、現時点では3カ月以内に新型コロナにかかった人についてはワクチン接種を遅らせることができるという。

フェーズ 1(現在)

2020年12月~2021年2月

  • 介護施設の入居者とスタッフ
  • 介護施設入居のアセスメントを受けて待機している人
  • 介護付き住宅の入居者とスタッフ
  • 介護施設および介護付き住宅の医師などエッセンシャルビジター
  • ICU(集中治療室)、救急、内科、外科など、新型コロナ患者のケアを行う可能性がある病院の医療従事者
  • 辺地の先住民コミュニティ

フェーズ 2

2021年2月~3月

  • フェーズ1でワクチン接種を受けていない80歳以上
  • 65歳以上の先住民、フェーズ1で接種を受けていない先住民コミュニティ
  • 病院スタッフ、総合医(GP)、フェーズ1で接種を受けていない医療スペシャリスト
  • シェルターなどで暮らす脆弱な立場の人、あるいは勤務する人
  • シニアに対するホームサポートや介護を行う介護士など

フェーズ 3

2021年4月~6月

  • 60歳~79歳
    • 75歳~79歳(1回目:4月、2回目:5月)
    • 70歳~74歳(1回目:4月/5月、2回目:5月/6月)
    • 65歳~69歳(1回目:5月/6月、2回目:6月/7月)
    • 60歳~64歳(1回目:6月、2回目:7月)
  • がんで化学療法や放射線治療を受けている、嚢胞(のうほう)性線維症(CF)や重篤な喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など基礎疾患のある16歳から69歳まで(1回目:4月、2回目:6月)

フェーズ 4

2021年7月~9月

  • 18歳~59歳(年齢が高いグループから開始)
    • 55歳~59歳(1回目:7月、2回目:8月)
    • 50歳~54歳(1回目:7月、2回目:8月)
    • 45歳~49歳(1回目:7月、2回目:8月)
    • 40歳~44歳(1回目:7月、2回目:8月)
    • 35歳~39歳(1回目:7月/8月、2回目:8月/9月)
    • 30歳~34歳(1回目:8月、2回目:9月)
    • 25歳~29歳(1回目:8月/9月、2回目:9月)
    • 18歳~24歳(1回目、2回目とも9月)

ポリエチレングリコールなどに重篤な反応がなければ接種可能

 BCCDCでは、子ども以外では前回の新型コロナのワクチン接種でアナフィラキシー(注)など重篤な反応を起こした人、ポリエチレングリコール(PEG)やポリソルベートにアレルギーがある人以外は接種可能という。

 アレルギーのある人や、これまでにワクチン接種でアレルギー反応を起こした人も接種できる。

ただし、
・これまでにアナフィラキシーを起こして、アレルギーの専門医の診察を受けたものの原因が分からなかった人
・アナフィラキシーを起こしたことがあるものの、アレルギー専門医に診てもらっていない人
・以前にワクチン接種を受けたときに重篤な反応やアナフィラキシーを起こしたことがある人
は接種前に伝えることとしている。

 また、妊娠中や授乳期の人もワクチン接種を安全に受けることができるとしている。

(注)アナフィラキシー(厚生労働省の『重篤副作用疾患別対応マニュアル』における定義)
「医薬品(治療用アレルゲンなどもふくみます)などに対する急性の過敏反応により、医薬品投与後多くの場合は 30 分以内で、じんま疹などの皮膚症状や、腹痛や嘔吐などの消化器症状、そして息苦しさなどの呼吸器症状を呈します。また、突然、蒼白、意識の混濁などのショック症状があらわれることがあります」

2回目の接種は35日後

 現在、カナダで承認されている新型コロナワクチンは2回接種する必要がある。

 当初は3~4週間後に2回目の接種を行う予定だったが、現在、BC州では35日後になっている。WHO(世界保健機関)とカナダの予防接種に関する全国諮問委員会は42日以内に2回目の接種を行うべきとの認識を示している。

 既に1回目の新型コロナワクチン接種を受けた女性は、当初の予定どおり4週間以内に2回目の接種を受けられないか調べたところ、予約システムで35日たたなければ接種できなかったと新報の取材に答えた。

後編に続く

*記事は1月25日10:00a.m. の時点でのBCCDCとBC州政府の情報に基づく。

(取材 西川桂子)

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