9月7日の規制緩和を前にした語学学校の状況

 新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、9月7日からは日本を含め海外から観光でのカナダ入国が可能になる。

 新型コロナウイルス感染拡大までは、たとえば夏休みに1カ月間、短期留学をする際には学生ビザ(就学許可証)でなく、観光ビザで渡航して学校に通うことができた。しかし、不要不急の渡航ができなくなってからは、1カ月の留学でも学生ビザが渡航に必要になり、短期の留学は現実的ではない状況が続いている。

 感染拡大状況によるとのことだが、学生ビザがなくても9月7日からカナダに入国ができるようになる予定となっている。今回の規制緩和で日本からの留学生が戻ってくるのだろうか。語学学校、International House Vancouverの小川陽一さんに話を聞いた。

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-9月7日からいよいよ規制緩和で、短期なら学生ビザ(就学許可証)がなくてもカナダに来ることができるようになる予定です。この緩和で留学生が増えるなど、現時点で何か動きはありますか?

 7日予定の規制緩和では、留学生の渡航がすぐには増えてはきていません。

 今、日本の感染状況がすさまじいです。また、日本で2回のワクチン接種が終わっている人はまだまだ少ないのが現状です。

 規制が緩和され、渡航後のホテル隔離がなくなったものの、ワクチン接種を完了していない入国者は、現時点では2週間の隔離については引き続き必要です。

 ワクチン接種が終わっていると、現時点では隔離をしなくてもよくなるということなので、カナダへの渡航を少し延期してまずワクチン2回を日本で打って、10月、11月から留学する、という学生が多くいらっしゃいます。

 一方、カナダの新型コロナウイルス感染者も増えているので、9月7日から本当に入国緩和されるのか分からないという不安もあります。短期留学の方が戻ってくるのは来年明けぐらいからではないかという印象を持っています。

-日本人でコロナ禍であっても英語を学びに留学したいという人は、カナダに留学していると聞いています。

 そうですね、今、留学したい方の渡航先の選択肢があまりないというのが現状です。
 
 オーストラリアやニュージーランドは受け入れていませんし、イギリスは感染状況がよくありません。

 マルタも留学先として人気があるのですが、感染者が増えてロックダウンとなっているようです。現在、日本人の語学留学(英語)先となると、カナダかアメリカになっています。
 
-International Houseの現在の留学生の国籍内訳はどうなっていますか?

 今はバンクーバーへのフライトが限られていることもあり日本人の渡航が多くなっています。あとは少ない人数ですが、台湾、韓国ぐらいでしょうか。南米も直行便が飛ばなくなっている国も多いです。南米では渡航せず自国に残って、オンラインでカナダの授業を受けている生徒さんもいます。

-授業はオンライン、対面とありますが、どのような形態でしょう?

 春の第3波のときも対面とオンラインを行っていました。現在規制緩和に従い、教室に入る生徒さんの人数を調整しながら、クラスをオンラインと対面に分けてのハイブリッドに移行、そして今は基本対面にてクラスを行っています。

 ハイブリッドはたとえばクラスの人数が10人とすると同じ授業を5人はオンラインで受けて、5人は登校して教室で受けるというものです。

 保健局の指示に従いながら、公立の学校の対応も見て、当校ではどうするか決めています。

-7月1日から規制緩和、BC州Restart Planのステップ3に移行して、たとえばマスク着用は強制ではなく推奨に変わりました。現在、どのような対応をしていますか?

 引き続きマスク着用をお願いしています。感染対策はクラスの人数を除き、ほぼこれまでどおりです。

 学校入口で体温や健康状態チェックを行って、パスしないと校内に入ることはできません。教室をはじめ、校内各所にハンドサニタイザーを置いて、使ってもらっていますし、机やいすなどの除菌、清掃も行っています。

-カナダのほうが日本よりワクチン接種が進んでいます。ワクチン留学の話も聞きます。

 ニューヨークで海外旅行者にもワクチンを打つとかニュースでやっていましたね。ワクチン留学の話も聞きます。ただ個人的には倫理的にどうなのかという気もします。

 当校に留学している生徒さんで希望する方には、接種は自己責任ということを説明した上で、接種の案内もしています。その際、日本の家族にもワクチン接種を受けることについて確認してもらっています。

-春にカナダ大使館が主催した留学セミナーに新報が参加した時、親子留学の問い合わせが目立っていました。問い合わせをした人の話を聞くと、コロナで在宅勤務になっている今、ある意味、親子留学のチャンスという印象を受けました。

 5歳から12歳の子どもと一緒に親が渡航する親子留学は、コロナに関係なくこの数年増えていました。

 若い時に海外留学した人が親になっていて、子どもと一緒に海外へという人もいらっしゃいます。親子留学で親御さんも学校に行くケースもありますし、お子さんだけ学校に行かせて、親御さんはお子さんの面倒をみながらカナダでの生活を楽しむケースもあります。

 コロナで在宅になったから、親子でいらっしゃるケースが増えているということはないと思います。コロナの感染状況次第ですが、現状では親子留学が増えてくるのも来年からだと思います。

(取材 西川桂子)

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