新型コロナウイルス感染拡大により、世界的に半導体不足となり、自動車産業に大きな影響が出ているという。自動車業界で25年以上の実績を持つロビー福島さんに話を聞いた。2回に分けて紹介する。前編は新車や中古車の販売状況、後編で人気が高まっているEV(電気自動車)や中古車購入時の注意など。
福島さんは新車販売では日産とマツダ車を、中古車についてはその他のメーカーの車も扱う。
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- パンデミックによる半導体不足で、新車が不足しているそうですね。知人が新車購入を申し込んだのですが、いつ入るのか分からないと聞きました。
納車まで6カ月待ちぐらいが普通です。ただし、色やグレードの指定をしなければもう少し早くなるかもしれません。
私どもでも現在、パンデミック以前の4分の1から5分の1程度しか新車は入ってきていません。希望するお客様に待っていただかなければならないのが現状です。
半導体については、車1台あたりおよそ2,000個か、あるいはそれ以上のものが使われています。でも電気製品にも必要で、不足している原因は家電やコンピュータなどの需要が増えたこともあります。半導体は車だけに使われているのではありません。
ステイホームとなって、テレビやゲーム機などのエンターテインメント、家で料理をする人が増えたため、キッチン用家電などの売り上げが増えました。今、半導体が奪い合いになっています。
パンデミックが始まったとき、一時、自動車の販売台数が大きく落ち込みました。半導体業界側は売る必要があるので、家電のほうにシフトしました。家電業界に取られてしまったことも、現在、自動車業界に半導体がなかなか入らない一因です。
自動車産業が復活したので半導体が必要といっても、一旦、流れが変わったものを元に戻すには時間がかかります。新車供給不足の解消には、今年いっぱいはかかるのではないかと思います。
– 2021年、カナダの自動車販売台数が増加したという記事を読みました。
2020年と比べてでしょうか。
パンデミックにより2020年の新車販売台数は大幅に落ち込んだので、売り上げがどこまで戻っているか見るには、2020年ではなく、2019年と比較する必要があります。2021年でも2019年の状態には戻っていないと思います。
車がないので、現在、購入のインセンティブはほとんどありません。以前は半年に1度ぐらい「Employee Discount(社員価格)」セールのような、大型割引キャンペーンを行っていました。でも、今はそういったキャンペーンは行っていませんし、新車ローンのレートも高くなっています。
日産、マツダに限らず、あらゆるメーカーに関して言えることですが、車の購入を考えている人にとって、今はあまり良い時期ではないかもしれません。
- 新車不足の結果、中古車需要が高まっているといいます。
中古車は今が一番高いですよ。人気があって、現在、新車での入手が難しい車なら、2~3年落ちでも新車より高く売れると思います。車種によりますが、2~3年落ちの中古車の値段が新車より高いというのが、現在の相場になっています。私はこの業界で長い間働いていますが、こんな時代がくるとは思ってもみませんでした。
ピックアップトラックのように、中古車市場における人気車種もあります。
- 確かに昨年の売り上げランキングを見たところ、ピックアップは人気があるようですね。
ピックアップは走行距離が多くても、修理をしながら道具として使う人がたくさんいます。特に人気メーカーのピックアップは高値です。新車で4万ドルの車が、走行距離が2万キロの1年落ちで、5万ドルぐらいで売っていることもあります。乗用車はそうはいきません。
- 私が持っているのは日本車ですが、小型乗用車なのでダメですね。
スポーツユーティリティビークル(SUV)のように、人気のある車種もあります。どこのメーカーも現在、売り上げの大半はコンパクトなCUV(クロスオーバー・ユーティリティ・ビークル)、SUVです。マツダでも一番人気があるのはコンパクトなSUVの「CX-5」です。
日産の場合は小さい車だと「キックス」です。4WDではなくて、ハッチバックの前輪駆動のコンパクトSUVです。北米ではマイクラ(マーチ)、ヴァーサノートは生産停止になりました。
ボディではセダンは厳しいですが、ハッチバックは人気があります。アメリカの場合はコンパクト、ミッドサイズなどのピックアップトラックが主流です。
(後編に続く)
ロビー福島さん
KING GEORGE NISSAN
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(取材 西川桂子)
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