ワークショップ「BC州における高校卒業後の教育」開催

 移民定住支援団体S.U.C.C.E.S.S.によるオンラインワークショップ「BC州における高校卒業後の教育」が、3月18日に行われた。スピーカーはEducation Planner BCのメロディ・マクカーナンさんとヘイリー・アースタッドさん。卒業後の具体的な進路オプション、プランの立て方、経済的支援などについて話した。

 Education Planner BCは、高等教育機関進学をサポートする機関。ウェブサイトではブリティッシュ・コロンビア(BC)州の公立教育機関、プランニング、経済支援に関する情報提供を行うほか、各教育機関に出願することもできる。

 進路を決めるにあたって、まず手始めにしたいのが「子どもとの会話」とメロディさん。「卒業後に何をしたいのか?」「出願期限はいつまで?」といった質問から会話をスタートさせてはと話す。

 親が頭に入れておきたいのは、今の時代、選択肢は増えているということ。高校を卒業して大学に入り、その後すぐに就職するという、いわばストレートな道ばかりではないということだ。メロディさん自身も高校卒業後、1年間休暇を取ったあとに進学。その後プログラムを変えたり就職したりしたあとに、修士課程へと進んだそうだ。

 高等教育機関としては、BC州には11校のユニバーシティ、11校のカレッジ、3校のインスティテュートがある。カレッジにはたいてい学士課程のみがあり、ユニバーシティに比べると学費は経済的。インスティテュートは実践にフォーカスした教育を行っているという。ユニバーシティは規模が大きく、修士課程や博士課程、また弁護士などプロフェッショナルの学位も取れる。

 なおEducation Planner BCが扱っているのは公立全ての学校だが、州内には私立の学校もあるので、そちらも含めてリサーチすることを勧めている。

 これらの機関で取れる学位は、大きく3つのカテゴリーに分かれる。

BC州における進路

ウェブサイトを用いて高校卒業後に取れる学位について説明した。Photo from TEducation Planner BC Website
ウェブサイトを用いて高校卒業後に取れる学位について説明した。Photo from TEducation Planner BC Website

 まず「Undergraduate」は、高校卒業後に取れる学位プログラムの総称。この中には学士号に当たる「Bachelor’s Degree」をはじめ、短期間で取得でき、より実践的な「Certificate」「Diploma」がある。「Associate Degree」は準学士号で、2年のプログラムで得た単位を移行し、ほかの学校でBachelor’s Degree取得を目指すこともできる。

 また医師や弁護士などの専門職に就くには、少なくとも3~4年の学士課程を修めていることが必須で、First Professional Degreeで3年、またはBachelor’s Degree で4年を終えてから、ロースクールやメディカルスクールなどに進学する。

 Undergraduateを修了後に取れる学位プログラムの総称がGraduate。修士課程(Master’s Degree)や博士課程(Doctorate Degree)などがこれに当たる。

 一方、特定の職業に必要なスキルを身につける「Trades」というプログラムもある。まず、高校卒業後またはグレード12在籍中に取れる「Foundation Certificate」は、基本的に教室で知識と技術を学ぶプログラムで、期間は6カ月〜1年間。修了後は見習い制度である「Apprenticeship」で学び、これを終えるとBachelor’s Degreeと同等のRed Sealという資格がもらえる。

 このほか、希望の進学先に入学要件が満たない生徒のためのHigh School Course Upgradingなどのオプションがある。

進学のための経済支援と出願

 高等教育機関進学への経済支援プログラムの紹介も行われた。

 Awards、Bursaries、Scholarshipsと呼ばれる奨学金があり、成績優秀者や経済的に困難な学生などが申請することができる。ローカルの奨学金については高校のカウンセラーにたずねるといい。

 ほかには、StudentAid BCを通して申し込む、助成金(Grants)やスチューデントローンがある。助成金は返済不要、ローンは卒業後に返済する。

 これらの情報は、いずれもEducation Planner BCで得られる。ヘイリーさんは実際にウェブサイトを示しながら説明した。

 最初にPlanタブの「Getting Started」セクションに行くと、進路プランを立てるにあたってのステップがわかりやすく示されている。キーとなる高等教育機関情報はもちろん、さまざまな職業を紹介するWork BCのサイトへジャンプすることも可能。また各プログラムの入学要件や経済支援情報も得ることができる。

 教育機関は科目名、期間、場所などさまざまな条件で検索可能。またBC州の公立高等教育機関は、現在BC Institute of Technology(BCIT)とRoyal Roads Universityを除き、すべてEducation Planner BCのウェブサイトから出願できる(結果はEducation Planner BCからではなく、各校から直接、送付される)。

 質疑応答ではさまざまな質問が寄せられた。「州外の学校を希望する場合は」という質問には、「各州で教育システムが違うので、その州のポータルサイトを見てください」とアドバイス。例えばオンタリオ州なら、ユニバーシティだけを集めたポータルサイトOntario Universities’ Application Centreがある。

 「申請から結果までだいたいどのくらいの時間がかかるのか」については、「それぞれ違いますが、だいたい締め切りから3〜4週間で何らかのレスポンスがあることが多い。わからないことがあれば、直接教育機関へ問い合わせを」と話した。

Education Planner BC
https://educationplannerbc.ca/

(取材 宗圓由佳)

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